そうしてありついたサンマの美味しかったこと! ハフハフ言いながらまた3人で顔を見合わせてニッコリする。
私らは言葉を交わさなくたってこんなことができるのだと、なんだか誇らしい。コロナに勝ったと感じた数少ない瞬間であった。
なるほどこれからはコレなんじゃないか。心を通わせて生きる。この新しい日常なら大いに許す。
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行
※AERA 2021年11月1日号