ドジャースのアンドリュー・フリードマン氏(右)などMLBは編成権限のある人物の手腕が重要視される(写真/gettyimages)
ドジャースのアンドリュー・フリードマン氏(右)などMLBは編成権限のある人物の手腕が重要視される(写真/gettyimages)

 今季のプロ野球も両リーグの優勝が決まり、CSと日本シリーズの行方にファンの興味が移る時期となった。そんな中、すでに日本ハムの栗山英樹監督や中日の与田剛監督が今季限りでの退任を表明し、MLBでもメッツのルイス・ロハス監督やパドレスのジェイス・ティングラー監督がチームを去るなど、期待通りの結果を出せなかった指揮官たちが責任を取らされている。

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 だがNPBとMLBで大きく違うのは、MLBではGMなどの編成トップの責任や人事が盛んに報じられるのに対し、NPBではそうしたニュースに接することがほとんどないこと。またMLBではチームが低迷するとGMなどの手腕に疑問の声が上がる一方、NPBでは現場の監督や選手が真っ先に批判されるケースが目立つ。

 冒頭にも言及したが、3年連続のBクラスに低迷した日本ハムでは栗山監督と、不振だった主砲の中田翔(シーズン途中に巨人に移籍)に大きな批判が集まった。また日本ハム以外でも、中日の与田監督、ソフトバンクの工藤公康監督は成績不振の責任を取り、その職を辞している。結果的には続投となったが、西武の辻発彦監督も2018年から連続でチームをリーグ制覇に導くなど手腕を発揮していたが、今年の低迷から退任する意向を固めていたことが報じられた。

 もちろん、GMが絶対的な編成権を握るMLBと、時には監督など現場の意向の方が重視されがちなNPBを完全に同列で語ることはできない。楽天の石井一久監督のように現場責任者がGMも兼ねるようなことは、現在のMLBでは考えられないことだ(かつてはオーナーと監督とGMを兼任し、アスレチックスで50年に渡って監督を務めたコニー・マックのような存在もいたが)。

 近年のMLBではGMなどの編成トップを目指す者はインターンなどで最初から各球団のフロントに入り、編成に関する実務を経験しながらGM補佐などを経てGMのポストが開くのを虎視眈々と待っている。自身がキャリアを積んだ球団での昇進にこだわることはなく、他球団でGMの座に就くことも珍しくない。

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編成権限のある人物にもっとスポットが当たるべき?