立憲民主党の枝野幸男代表は11月2日、代表を辞任する意向を示した。衆院選で96議席と公示前を13議席も下回った結果に責任を取るかたち。立憲はなぜ敗北したのか。野党共闘は“失敗”だったのか。そして、次の代表は誰がなるべきなのか。ジャーナリストの青木理氏に聞いた。
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早急に取り組むべき課題が山積し、敵失も多くあった中、野党にまったく風を吹かせられなかった枝野氏ら党執行部の責任が問われるのは当然です。
今回、野党共闘によって小選挙区の多くで候補者を一本化したのは英断でした。自民党幹事長だった甘利明氏や石原伸晃氏らが落選に追い込まれたのはその成果でしょう。ただし、全体としては立憲も共産も議席減。特に野党第1党の立憲は比例での得票を伸ばせなかったのが致命傷でした。
この間、政府の新型コロナ対応に多くの人びとは不満を募らせていました。また、甘利氏に代表される「政治とカネ」の醜聞も絶えず、傲慢で乱暴な「一強」政権への反発のマグマは相当に蓄積されています。だからこそ自民党は選挙直前に“表紙”を掛け替え、岸田文雄氏を新たな総裁に担ぎ、わずかでもご祝儀相場があるうちにと総選挙に突き進んだ。
皮肉を込めていえば、そうした自民党のしたたかさにはある意味で感心しますが、決して磐石ではない与党を相手に議席減という敗北を喫した責任は重大です。政権交代どころか、政権への不満や不信の受け皿としても魅力がないという判断を突きつけられた。
前回2017年の衆院選時に希望の党の小池百合子代表(当時)がリベラルを「排除する」と宣言し、そこから枝野氏がリベラル勢力を結集して立憲民主党を立ちあげた功績は、もちろん評価してしかるべきでしょう。ただ、それから4年が経過し、野党第1党として臨んだ大事な選挙でこうした結果に終わった。自民党に倣い、大胆に“表紙”を変える対応が求められていると思います。