![村上春樹ライブラリーでは、海外で翻訳された膨大な数の村上作品を手に取ることができる。各国の装丁の違いを見るのも楽しい(撮影/写真部・東川哲也)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/8/e/840mw/img_8e9b984317c5961e748fd17fdceed63e96745.jpg)
本好きな人たちは、読書をどうとらえ何を読でいるのか。AERA 2021年11月8日号の記事では、それぞれのテーマで両極にあると感じる「両極本」を含む、オススメ本5冊を紹介しよう
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■松岡宗嗣さん(27)/「fair」代表理事
![松岡宗嗣さん(27)/「fair」代表理事](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/840mw/img_af1a4d6b0920a684cc8dd89e17a48b8040985.jpg)
規範を疑い、敏感であるために
性的マイノリティーに関する情報を発信する「fair」で活動しています。私自身が、ゲイの当事者でもあります。
ジェンダーやセクシュアリティーに関する生きづらさを感じるのは、ずっと「自分のせい」だと思っていました。そうではなく、社会から「自分のせい」だと思い込まされていたのだと気づけたのは本との出合いが大きかったと思います。私自身も情報発信の中で、誰かを周縁に追いやっていないか、怖さを感じています。規範を疑い、敏感であるためにも、本は必要です。
『しあわせなおうじ』は、個人や社会にとっての「幸せ」とは何か、描かれる「美しさ」に心動かされつつも疑い、自分自身の特権性、支援や分配のあり方を考えさせられる物語です。『差別はたいてい悪意のない人がする』は、差別の問題に「見えない」「気づかない」で済む特権という視点から自分自身の認識を疑い、どう公正な社会を目指せるかを考えるための一冊です。
![私の両極本(AERA11月8号から)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/f/c/400mw/img_fc4614d12fbe66444fc7b0620d47070c50900.jpg)
【私の両極本】
物語から疑う 『しあわせなおうじ』オスカー・ワイルド原作/フレーベル館
理論から疑う 『差別はたいてい悪意のない人がする─見えない排除に気づくための10章』キム・ジヘ著/大月書店
『LGBTを読みとく―クィア・スタディーズ入門』森山至貴著/ちくま新書 『海をあげる』上間陽子著/筑摩書房 『誰のために法は生まれた』木庭顕/朝日出版社
![](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/120m/img_0148782f5724abde31e6562dc09a6a8222698.jpg)