
「日本証券業協会が『高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン』を定めており、対面営業の証券会社は75歳以上のお客様への投信販売に慎重な姿勢を示す可能性があります」
その点、ネット証券は年齢制限を設けていない。「投資は自己責任(自分の判断)で」を前提に、75歳以上でも取引可能だ。口座開設や取引方法については後述するが、原則として実店舗を持たないネット証券なら手数料も割安だ。豊富な選択肢から自分のニーズを満たすものを見つけられる。
とはいえ、これまで投資経験がなければ、何を選べばいいかわからないかもしれない。とくに70歳から始める場合にはどんなものがいいのか。
まずは投信の「投資先」を見ていこう。主なものは【1】国内債券【2】外国債券【3】外国株式【4】国内株式の四つ。投信ごとに、どれを投資対象とするか定められている。
【1】国内債券とは、国が発行する国債や、主に日本の大企業が発行する社債などのことを指している。満期まで保有すれば元本が戻り、株式に比べて低リスクとされるが、長引く超低金利の影響で、利回りが低い(利息収益が少ない)。【2】外国債券は海外で発行された債券で、日本よりも金利水準が高く、その点は国内債券より魅力的といえる。
【3】外国株式とは、海外で発行された株式。アマゾンやアップル、グーグルなど世界を席巻する銘柄(企業)が多い。【4】国内株式にもグローバルに活躍する銘柄はあるが、数やスケールではやや見劣りがする。ただ、【2】外国債券と【3】外国株式は為替変動に伴う損失が発生しうる(逆に為替変動で利益が出ることもある)。
リスクを抑えたいなら、株式よりも債券を選ぶのが無難だろう。だが先述したように【1】国内債券は利回り面で魅力薄。【2】外国債券が対象の投信がよいかと思われるが、篠田さんは次のように語る。
「足元で米欧は利上げを進めているものの、それまで世界的に低金利が続いてきたことから、外国債券ファンドの運用実績も低迷してきました。投信の場合、運用が芳しくないと信託報酬(運用手数料)がさらに足を引っ張るので、むしろ今は外国債券を直接購入したほうが有利かもしれません。現在、米国債は4%台の利回りになっています」