
「リスク」という言葉を目にして、「怖い」と感じた読者は少なくないはずだ。勘違いされがちだが、資産運用の世界で使われているリスクとは、危険を意味するものではない。「収益にプラスマイナスの変動がある」ことで、ハイリスクという表現は「変動の度合いが大きい」という意味だ。
もちろん、期待した方向と逆に変動するのは怖い。だが、このブレを抑える方法がある。「長期的な視野」で臨み、「分散」を心掛けることだ。
たとえば、株式は短期的にさまざまな要因によって変動するが、長い目でみれば、その会社の利益成長に沿った推移を示しやすい。長期で保有することを前提にすれば、ブレが小さくなってくることを期待できるわけだ。
そして、資金の投入時期も分散すれば、相場の上げ下げに応じてタイミングを見計らう必要もない。投資先も複数に分散しておけば、一部で損失が出ても他の利益がカバーする可能性があり、リスクを軽減できる。
「いまさら長期と言われても……」と思うかもしれないが、ちょっと待ってほしい。
深野さんが言う。
「人生100年時代を踏まえれば、70歳から30年もの時間があります」
では、具体的にどのようなものへ、長期の視点で分散投資を行えばよいか。候補となるのが投資信託だ。ファンドともいい、大勢の人から集めた資金をまとめ、本人に代わって専門家が株式や債券に投資する仕組みだ。
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投信だと数千円程度から買え、運用で得られた利益は定期的に分配金として支払われる(分配せず、再び投資に充てる商品もある)。投信の価格は毎日変動し、高くなったタイミングで売れば、差額分が利益となる。とはいえ短期で売買するのではなく、長い目でみて価格が上がりそうな投信を選ぶのが鉄則だ。
投信は銀行でも取り扱っているが、証券会社のほうが品ぞろえは充実している。もっとも、楽天証券経済研究所副所長でファンドアナリストの篠田尚子さんは指摘する。