値上げが相次ぐ食料品
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 ついに本格的なインフレ時代がやってきた。物価が上がると現金の価値が下がり、預貯金や年金だけが頼みだと資産がどんどん目減りしてしまいます。人生後半戦を生きる“週刊朝日世代”のみなさんにこそ必要な資産形成の基本をおさらいします。

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 ロシアによるウクライナ侵攻に世界が動揺した春に続き、秋にも値上げラッシュの第2ステージが待っていた。

 9月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月より3.0%上昇。バブル崩壊以来、デフレが常態化していたが、ついに日本でも本格的なインフレが現実味を帯びてきた。

 しかも、目の前に迫っているのは「好ましくないインフレ」だ。バブル期まで続いた日本の絶頂期を生きてきた世代は、インフレになっても給与がそれ以上に増えていれば、憂いはないことを知っている。また、当時は預貯金をしておけば、利息で十分に増やせた。

 ところが、今の日本では所得がいっこうに伸びず、預貯金の利息もゼロに近い。公的年金にしても、社会情勢に応じて給付水準を自動調整する「マクロ経済スライド」という制度がネックになる。物価が高騰しても、給付水準の伸び率が抑えられてしまうのだ。

「賃金の上昇傾向が見られる海外はともかく、日本で給与のベースアップが物価上昇をしのぐことは考えにくい。年金もしかりで、すでにリタイアしている世代も何らかの不労所得を確保していないと不安でしょう。世代を問わず自助努力が求められているとも言えます」

 こう指摘するのは、ファイナンシャルプランナーとして、30年超にわたり第一線で活躍する深野康彦さんだ。自助努力とは、堅苦しく表現すれば資産運用のことで、要は自分に代わって手持ちのお金に働いて(稼いで)もらうことを意味する。

 ただ、「働き先」に預貯金を選んでも稼ぎはゼロに近い。個人向け国債(3年満期の固定金利型)を買っても、税引き前の利回りは0.05%で、物価上昇率を下回る。もっと大きく稼いでもらいたいなら、リスクのある投資対象も視野に入れた運用が必要となる。

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