(写真:岩瀬愛子さん提供)
(写真:岩瀬愛子さん提供)

「緑内障は両目に起こるケースがほとんどです。しかし、左右の目で進行スピードが異なり、一方の目の緑内障が進行していても、もう一方の目の視野で補ってしまう。そのため見え方の変化を自覚しにくいのです」(岩瀬院長)

「視野が欠ける」という症状についても、誤解がある。「視野が欠ける」というと、明確な黒い斑点が出るように思われがちだが、実際は違う。見えない部分がぼんやりとした感じで出てくる。見えない範囲が小さい場合などは脳が補ってしまうこともある。

「進行した緑内障では、見えているのは、見ようとしている真ん中だけ。視野の中心一点は見えているので、かなり進行していても『視力は良い』と本人は考えているかもしれません」(同)

 緑内障の早期発見のためには、まずは「基本的にはだれでも発症する可能性がある病気」ということをしっかり認識するべきだ。

 加齢とともに患者数が増える病気ではあるが、「高齢者」の病気と思い込んではいけない。40歳代からリスクが高くなり、40歳以上の20人に1人、70歳以上の7人に1人が緑内障との統計が「多治見スタディ」で出ている。

■眼圧は正常でも緑内障

 次に、自覚症状に頼れないからこそ、早期発見には定期的な検査が不可欠。読者の中には「毎年、健康診断を受けているから大丈夫」と思っている人もいるだろう。緑内障の検査は、眼圧、眼底、視野をチェックするが、会社や自治体の健康診断にはこれらの検査が含まれていない場合もある。項目に含まれていても、眼科医以外がチェックしている検査では、見逃しが出る恐れがある。眼科医が行う眼科検診が望ましい。

 なお、典型的な緑内障は、眼圧が21mmHgを超えて上昇し発症するが、日本人では眼圧は正常(10~21mmHg)にもかかわらず発症する正常眼圧緑内障が多いことが明らかになっている。それゆえに眼圧検査は不要との声もあるが、岩瀬院長は「眼圧の高い緑内障は進行の速い型が多いので、それをチェックするために眼圧検査は外せません」と言う。

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