炎柱・煉獄杏寿郎(画像は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公式パンフレットより)
炎柱・煉獄杏寿郎(画像は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公式パンフレットより)

【※ネタバレ注意】以下の内容には、映画、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

【写真】芸能人たちの鬼滅コスプレがすごい!EXIT兼近の「煉獄」、安藤美姫の「風柱」、武田真治の「猗窩座」はこちら


14日、『鬼滅の刃』のアニメ「無限列車編」第5話が放送された。いよいよ無限列車編も後半にさしかかる。列車に乗り込んだ炭治郎たちは、鬼・魘夢との激闘の最中に、大きなダメージを負った。この任務には、炎柱である煉獄杏寿郎が同行していたが、彼は後輩剣士たちの援護にまわり、魘夢にとどめをさしたのは炭治郎だった。なぜ鬼殺隊実力者である煉獄が、直接、魘夢の首を斬らなかったのか。そこには煉獄の深い思慮があった。<本連載が一冊にまとめられた「鬼滅夜話」が11月19日に出版されます>

■「炎柱」が無限列車に赴いた理由

 まず、無限列車に炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)が赴いた理由について考えたい。鬼を滅殺するための組織・鬼殺隊(きさつたい)の戦闘の要は、「柱」と呼ばれる者たちだとされている。

「柱とは 鬼殺隊の中で 最も位の高い9名の剣士である 柱より下の階級の者たちは恐ろしい早さで殺されてゆくが 彼らは違う」(6巻・第45話「鬼殺隊柱合裁判」より)

 コミックス15巻には「柱は警備担当地区が広大」で多忙であると説明されており、柱が派遣されるほどの現場は、相当な危険が予想されるところばかりだ。

<短期間のうちにこの汽車で40人以上の人が行方不明となっている! 数名の剣士を送り込んだが全員消息を絶った! だから柱である俺が来た!>(煉獄杏寿郎/7巻・第54話「こんばんは煉獄さん」)

 無限列車には、鬼の実力者「十二鬼月」のうち「下弦の壱」にランキングされている鬼の魘夢(えんむ)が潜んでいた。下位クラスの鬼とは違い、血鬼術(けっきじゅつ=鬼の特殊能力)も予想以上に強力なものだった。

■煉獄の柱としての資質の高さ

 煉獄杏寿郎は、無限列車内で大量の弁当を食べ、後輩剣士たちとにぎやかに会話を交わしている。一見すると和やかな雰囲気であるが、はじめて列車に乗って興奮している伊之助(いのすけ)に対して、煉獄は「危険だぞ!いつ鬼が出てくるかわからないんだ!」と注意をうながしている。煉獄が警戒を怠らず、高い緊張感を持っていることが、このセリフからよくわかる。

著者プロフィールを見る
植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

植朗子の記事一覧はこちら
次のページ
煉獄が魘夢にとどめをさすこともできた