12球団のドラフト戦略、育成方法、FA戦略も変わるだろう。昔はFA選手となれば、年齢が多少いっていても、他球団から経験値も買われてオファーが出たものだが、今は「人的補償」なども総合勘案すると、おいそれと手を出せない。さらに「力の低下を経験値でカバーする」といったことが、若い力によってかき消される今、各球団はFA選手獲得にさらに二の足を踏むことになる。20歳代前半の可能性ある若手を使って伸ばしたほうが、戦力を一気に伸ばせる「伸びしろ」があるからだ。外国人補強も、メジャーで実績あるベテランよりも、30歳以下の若い選手に目が行くようになっている。
敗れたヤクルト。史上最年少で三冠王を獲得した村上宗隆は、今シリーズは、26打数5安打で打率1割9分2厘だった。第1戦で本塁打を打ったとはいえ、3連戦で終わるレギュラーシーズンとは違い、日本シリーズは同じ相手と最大7試合戦う。その難しさも感じ取ったのではないか。この経験をさらなるスケールアップにつなげてほしい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年11月18日号