旧統一教会と関連する団体であることを隠し、サークルを装い大学生に接近する手口が報告されている。その勧誘の実態とは。2022年11月14日号の記事を紹介する。
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19年1月中旬。当時1年生だった早稲田大学の男子学生はキャンパスで見知らぬ男性から、
「学生さんですか?」
と呼び止められた。20代半ばくらいだろうか。大学OBで、在学生にアンケートをとっていると言う。
「学部は?」
「何がしたいの?」
そんな質問から始まり、学びたいテーマや将来の夢のことまで話は盛り上がった。
男性は「人材育成サークル」で活動し、大学から15分ほど離れた一軒家でメンバーと暮らしていると話した。何度も家に誘ってきて、学生が断っても引き下がらない。根負けして学内のスペースで“プレゼン”を受けることになった。
「パソコンで見せられたパワーポイントには、『WASEDA CARP』と書いてありました。最後のほうでサークルの歴史について説明され、そこに文鮮明の名前が出てきた。かつて早稲田にいた韓国人留学生だと言われました」
文鮮明氏(故人)は旧統一教会の創設者で、CARP(カープ)はその「友好団体」の一つだ。名称は「Collegiate Association for the Research of Principles(全国大学連合原理研究会)」の頭文字からとっている。