有田さんはとにかく興味の幅が色々ある人。僕が悩んでいること、例えばAとBのどちらにしたら良いか悩む構成があったとします。どっちもゴールがあって面白いので捨てがたい。有田さんがすごいのはそこからCを作れること。その有田さんが打ち出すCのインパクトが毎回あるんですよ。有田さんは作家の目線で番組を作ることができる芸人さんです。
――「脱力タイムズ」が単なるバラエティではない報道番組だという理由は?
「どういうパッケージで番組をやるか」ということにかなりこだわりました。芸人がメインのコントバラエティ番組は大体6~7年が賞味期限。長く続けられないものなんです。脱力は報道番組でニュースを題材にしているので、長く続けられると考えています。
もう芸人さんに対してはデフォルトなんですが、番組の台本は芸人用と出演者用の2つがあってどちらもオンエアが成立するように作り込んでいます。扱うのは時事ネタですが、徹底して芸人を追い込むのが構成の柱で、有田さんがこだわるポイントは「引き算の笑い」。細かい笑いを引き出して重ねていくよりも、ずーっと振りを続けていって、最後にボンと笑いを爆発させる、つまり梯子を外すんです。
――梯子を外された芸人のリアクションは様々で、そこが見ている私たちを「この後、どういう展開になるのだろう」と更に引き込んでいきます。芸人の面白さを更に引き出すために、有田哲平と名城が収録時にスタジオで“やること”があるそうですね。
有田さんが芸人のリアクションを見て笑うんです。報道番組なのでメインキャスターは笑ってはいけない。それでも仕掛ける側の有田さんが笑っているから、芸人さんには安心材料になる。それが実は芸人さんを安心させる最初のブロックになっていて、そのあと梯子を外していくんです。有田さんと同様に僕もフロアで笑っています。ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんが良い例です。亮さんのリアクションにとにかく僕が笑い続けていくんですが、途中で僕がスタジオから姿を消します。そうすると亮さんは「あれ?ラリータがいない!」とパニックになり不安げな表情になる。有田さんがそこを見抜いてさらにいじる。亮さんは完全に素の状態で、何とも言えない表情になっていましたね。小籔(千豊)さんや川島(明。麒麟)さんのような、器用な人にはなるべく方向性を定まらせないようにします。