1997年以降、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、現在は共働き世帯数が専業主婦世帯数の2倍以上になっている(撮影/写真部・加藤夏子)
1997年以降、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、現在は共働き世帯数が専業主婦世帯数の2倍以上になっている(撮影/写真部・加藤夏子)

 18歳以下の子どもを対象にした10万円相当の給付をめぐり、所得制限の線引きに不満がくすぶっている。何を基準にして決まったのか。AERA 2021年11月29日号の記事を紹介する。

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 不満の声がSNS上で続出している。「18歳以下の子どもへの10万円相当給付」についてだ。

 すでに報道されている通り、夫婦と子ども2人の世帯では「年収960万円未満(年収103万円以下の配偶者の場合)」が対象となるが、世帯年収ではなく、「世帯主」年収。共働きで一方が年収959万円、一方が103万円、世帯年収1062万円の世帯では10万円支給の対象となるが、夫婦どちらかが年収960万円、片方が無収入という年収960万円世帯では給付を受けられない。困窮世帯でも、子どもがいなかったり、19歳以上だと不支給となる。

給料増えても負担も増

 横浜市に住む40歳の女性は息子に発達障害があり、通院や療育で手がかかるため、5年前に会社を辞め、専業主婦となった。5歳年上の夫は建設業で管理職をしており、昨年の年収は約1100万円。以前は児童手当を月額1万円もらえていたが、所得制限で5千円に減額された。

「私が仕事を辞めた分、夫が一生懸命働いて昇進し、給料が上がった。喜ばしいが、子ども関連のさまざまな手当の対象外となってしまい、家計が厳しくなりました。共働きで明らかにうちより世帯年収が多い人たちが10万円相当の給付を受け取れるのは納得できません」

 共働き世帯も困惑の声を上げる。「ありがたいものの、コロナで家計が苦しくなっていない私たちがもらっていいのか」と話すのは、都内に住む会社員女性(36)。年収約700万円で、共働きの夫(38)の年収と合わせると、世帯年収は1600万円ほど。2歳と5歳の子どもがいるので、20万円相当が支給されることになる。

「本当に困っている人に行きわたってほしいという思いがある。国の借金が過去最高と言われる中でのばらまきは、将来、子どもたちが負担することになるかと思うと不安です」

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