ヤフオク!には「上海蟹」の文字が(ヤフオク!より)
ヤフオク!には「上海蟹」の文字が(ヤフオク!より)

実際に摘発された事例も

 罰則規定も設けられており、許可を得ずに飼育した場合、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が科せられる。

 中華レストランなどで提供される上海ガニについてはどうなのか?

「許可を受けた業者が中国から上海ガニを輸入して、同様に許可を受けたレストランに売るという行為については違法行為にはあたりません」(谷口さん)

 一方、上海ガニを違法に販売して摘発された事例もある。2015年、許可を得ていない業者に上海ガニを販売した東京・上野のアメ横商店街の中国食材店の経営者と、購入した水産物輸入業者の社員が特定外来生物被害防止法違反の疑いで書類送検された。18年、許可を得ずに販売目的で上海ガニを飼っていた横浜市の鮮魚販売業の社長と、魚介類販売店の店主が書類送検されたこともある。

 では、今回のケースも摘発されるのか?

「YouTuberの方がどのような業者から上海ガニを購入したのか、現在、調査中です」(谷口さん)

筆者にも届いた「上海ガニ」のお薦め

 ヤフオク!は今回の事態を受けて、16日に「モクズガニの出品について」というお知らせを出し、注意喚起を行った。そこには「『チュウゴクモクズガニ(通称:上海ガニ)』をはじめとするモクズガニ属の種(※在来の2種を除く)は、外来生物法において特定外来生物に指定されています」と書かれている(※は筆者による)。さらに、「ガイドラインに違反する商品については、発見次第削除等の措置を実施いたします。(規制の対象種であることが示唆されるものを含みます)」とある。

 ところが、その5日後、記者の元にヤフオク!からお薦め商品のメールが届いた。それを開くと、「上海蟹」のタイトル文字が目に飛び込んできた。添えられた写真にはたくさんの暗緑色のカニが写っている。だが、環境省に話を聞くと、「上海ガニの国内での繁殖は把握しておりません」(谷口さん)という。「国内にいない」となれば、違法に輸入された上海ガニを売っているのだろうか。

 ヤフオク!を運営するヤフージャパンに話を聞くと、「その商品の説明書きには鹿児島産のモクズガニとあります。当然、国産種で、違法ではなく、出品できる状態です」(ヤフージャパン広報担当者)との回答が返ってきた。

 続けて、「商品が国産種のモクズガニなら、『上海蟹』と表記すると『産地偽装』になるのではないか」と聞くと、質問に対する明確な回答はなく、「国産種、外来種の判別が難しいものに関しては、適宜、環境省と連携のうえ、措置を実施させていただいています」(ヤフージャパン広報担当者)と繰り返すだけだった。

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