また、同社では2012年に、キンミヤ自体を凍らせてシャーベット状にし、ホッピーなどで割って楽しむパウチ入りの「シャリキン」を開発し人気商品になった。きっかけは、都内のある得意先がキンミヤを凍らせるメニューを独自に出していることを知ったこと。それをヒントに商品化に至ったという異例の形だ。

「顔の見えるお付き合いをする中で、こうしたいい商品を生み出すことができたと実感しています」(伊藤さん)

 人がまさに財産なのである。

■「キンミヤ・ブルー」のインパクト

 ならば、キンミヤの象徴である、あのきれいなブルーのラベルは誰がデザインしたのか。愛好家には「キンミヤ・ブルー」と持ち上げる人がいるとかいないとか。4リットルサイズの生産を減らし、見慣れない瓶が店内に並んだ時、あのラベルにインパクトを感じた人もいるだろう。

「実は、誰がどんな経緯でデザインしたのか、記録がなくわからないんです。生産当初から、おそらくあのデザインだったのだろうとは思いますが。印刷会社に元の版があるので、ずっと使い続けています」

 永遠に解けぬであろう謎。答えはさておき、キンミヤは今宵も、呑兵衛が集う酒場で「名脇役」のお務めを果たす。

(AERAdot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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