新生銀行はSBIが会長に推薦していた五味廣文元金融庁長官(元SBI社外取締役)ら役員の受け入れ、事業運営への協力にも合意。事実上、SBIの北尾会長の軍門に下ることになった。
AERAdot.編集部が入手した政府が作成したSBIグループへの再就職状況一覧によると、前出の五味氏だけではなく、元金融担当相の竹中平蔵氏、元財務省事務次官の福田淳一氏、元農林水産省事務次官の末松広行氏もSBIホールディングスの社外取締役に就任。他にも防衛装備庁長官、財務省財務官、総務省統括審議官、金融庁検査局主任統括検査官2人、金融庁監督局主任統括検査官、財務省関東財務局長2人、証券取引等監視委員会(SESC)統括検査官4人など計19人の「天下り」の名前がずらりと記されている。
経済産業省の官僚だった古賀茂明氏はこう語る。
「SBIグループへ天下り19人は、福田財務事務次官から金融庁の検査官レベルまで幅広く、尋常じゃない。すぐに天下らず、どこかをかませて受け入れるなど法にのっとっているでしょうが、逆に言えば、天下り規制はザルだということ。まず、人数で多すぎますね。しかもSBIを取り締まる立場の金融庁やSESCなど監督官庁からの天下りが多い。SBIは何を狙ってこれだけ多くの天下りを受け入れたのか。SBIは菅政権時代から地銀の再編を仕掛けており、そうした政治的な背景も考える必要があるでしょう。SBIへ金融庁、SESC職員の天下りがこれだけ多いという実態を見たら、誰でもズブズブの関係だと思うでしょうね。新生銀行の件でも、金融庁長官の五味さんをトップに送り込むには、裏ではいろんな調整があったのではないかと疑う人も多いと思います」
SBIは北尾社長が掲げる「第四のメガバンク構想」の中核に新生銀行を置き、資本提携を進める地銀との関係強化などにより企業価値を高めると買収の意図を説明する。
「SBIの北尾社長は天下り人脈を駆使し、今回の新生銀行買収、ひいては『第四のメガバンク構想』の前進により、金融業界における存在感と発言力を高め、さらには『大阪・国際金融センター構想』への足掛かりにしたいという思惑が透けて見える。SBI社外取締役を務める竹中氏が率いるパソナグループもこのセンター関連の業務を受託しています。金融業界の覇権の一端を掌握しようとしているのではないか」(前出の官邸関係者)