「宮地克彦さん(元西武)、橋上秀樹さん、秦真司さん(元ヤクルト)……。 NPBで日本一にもなった方々が良い環境を作ってくれた。『独立は本当のプロではない。賞味期限2~3年にすべてを賭けないと野球でメシは食えない』と徹底された。意識の低い選手が浮き始めてリーグからいなくなりレベルも少しずつ上がった。投手の多くが爪のケアを当たり前にやるようになった。細かい部分への意識の重要性に気付かされた」
富山コーチ時代、米国ウインターリーグ視察で元メジャーリーガーの鈴木誠氏(マック鈴木)と出会ったことも大きかった。マックは03年から3年間NPBオリックスでプレーした後、米国再挑戦の真っ最中だった。プロの世界を知っている者同士で意気投合、交流が始まった。当時の米国には爪ケアに関する意識はなくマックも他の選手と同様だったが、爪の話をすると興味を持ってくれた。
「マックさんは爪のトラブルに苦労していた。新潟・燕三条の刃物会社に野球好きの知人がいたのでマックさんを紹介して爪の話を聞いてもらった。即座に『これはすごい。このヤスリに出会っていたら、もう少しパフォーマンスが安定しトラブルも防げたかもしれない』と気に入ってくれた」
細部への徹底したこだわりがパフォーマンスを高める。爪の構造や従来のケア方法による弊害など、詳細を知るにつれマックの意識もどんどん変わった。また3人の子どもを育てる父親の立場から教育的見地からも爪のケアが絶対必要と賛同してくれた。
「爪は人によってクセがあるし子どもの爪は柔らかくて小さい。3層構造でケーキのミルフィーユみたいな感じなので細心の注意が必要。市販の平型爪切りは圧力をかけて切るタイプなので負荷がかかり過ぎる。爪の層が剥がれたり上を向いてしまうことがある。正しく切らないと深爪になり歩けなくなることもある。個々に合ったケア方法があるので、できればケア用のニッパーとヤスリがあった方が良いですね」
「(今は)裸足で遊ぶことなどが推奨されています。子どもの頃から適切な感覚で歩いたり遊んだりすれば日常生活にも好影響を及ぼすということ。アスリートも同じで地面をつかめるようになり結果が出る確率も高まります。爪も同様で手足の感覚が研ぎ澄まされる。早くから取り組むことで時間とともに大きく変化する部分だからこそ子どもへのアプローチが大事です」