天皇陛下が描く令和の皇室像とは
天皇陛下が描く令和の皇室像とは

 一方、眞子さんは「公」と「私」で言えば、「私」を優先させたように見えました。小室圭さんとの結婚問題では、これまで国民の多くが持ち続けてきたであろう「皇室とは清廉で道徳的な人たち」といったイメージが崩れてしまったのです。

 こうしたことが起きるのは、皇室が社会の変化のスピードに追いつけていないことも背景にあると思います。

 情報発信という点で言えば、宮内庁の方針は、従来のオールドメディアに伝え、メディアを通して国民が知るというものです。ホームページを見にいくという能動的な行動でしか皇室にはアクセスできません。

 そうではなく、常に皇室側から情報を発信していくということが大事です。「私は普段こういうふうに考えている」「こういうことがあったんだ」といった何げない発信があってもいいと思います。私たちも、この人はこういう人なんだ、とわかっていれば、眞子さんの問題に対する捉え方も違ったかもしれません。

 見本になるのは英王室でしょう。ダイアナ元妃が亡くなったとき、王室は無視を続けたことで国民から反感を買い、王室廃止論が出たのです。その反省を踏まえ、広報を重要視する方向にかじを切りました。いまや英王室はSNSで積極的に発信しています。ツイッターやフェイスブックであれば勝手に情報が流れてくる。受動的に王室の発信に触れることができます。

 日本の皇室も、国民にとってより身近な存在である、ということを見せるほうが時代には即しています。ある程度の節度を保ちつつ、どんな人なのかを広く知ってもらう、本音を隠し続けるのでなく吐露する、といった姿勢が大事になってくるのではないでしょうか。

 瓦解した「国民に寄り添う皇室」像をふたたび取り戻せるかは非常に難しい問題です。平成期も最初からうまくいっていたわけではありません。紆余曲折があって、皇室への敬意が高まるまで20年ほど要したのですから。

◆麗澤大学教授(憲法学)・八木秀次
「男系を守ってこその特別な存在。天皇とは、皇室制度とは、広く議論を」

八木秀次さん
八木秀次さん

 個人の自由意志を貫いて結婚した小室眞子さんをめぐる騒動は、天皇制の維持など、皇室のあり方に非常に大きな影響を与えたと思います。これが前例になることにより、他の内親王、女王の結婚にあたっても同じ形態がとれるようになりました。

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