小室夫妻
小室夫妻

 それだけでいいのでしょうか。今回の眞子さんの件で、特に女性にとって、お濠の内側がいかに窮屈で生きづらいかがわかってしまった。眞子さんだけでなく、現上皇后も現皇后も、失声症になったり適応障害に苦しんだりしました。

 宮中にはいまなお、ケガレを避けるためのしきたりが厳然と残っています。その一つが女性だけに当てはまる血のケガレで、生理中は宮中三殿に上がれません。これは男女平等にも反しています。そこに手をつけず、ひたすら存続を前提にした議論ばかりが進んでいけば、今後も眞子さんのような女性皇族が出てくることは十分考えられます。

 皇室制度の存続を望むなら、GHQが手をつけなかった戦前との連続性にあたる部分を、戦後の新しい価値観のもとで再検討することが必要です。皇室典範を見直すとともに、条文化されていないしきたりなどもタブーを排して見直すことが重要だと思います。

◆東大大学院教授(憲法学)・石川健治さん 
「女性皇族が皇室から離脱する権利を封じるならば女性天皇を認めなければならない」

石川健治さん
石川健治さん

 眞子さんの結婚騒動は改めて考えると、皇室からの脱出劇だったのだと捉えるべきだと思います。

 憲法学者の奥平康弘先生は生前、天皇の退位について「脱出の権利」を説いておられました。その考えの元は、米国の政治哲学者エイミー・ガットマンの著作です。

 ガットマンは、人間を強く突き動かしているのは信仰で、宗教団体は公共圏を支える原動力となっており、宗教団体を民主制の中で積極的に評価すべきだと説きました。

 しかし、宗教団体はその信仰ゆえに、男女差別を典型とした差別構造を持つことがあり、宗教団体の積極評価は、たとえば男女差別を国家がサポートする結果をもたらし得ます。にもかかわらず、それを正当化しようとするなら、女性が個人として、納得ずくで人権を放棄していることに求めるほかはない。が、この正当化は、いざとなったら団体から抜ける可能性があることが前提です。裏から言えば、脱出の権利だけは、放棄できない人権だということです。

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