横浜市では、ごみ集積所へ持っていけない高齢者は玄関先に出しておけば収集してくれる。資源循環局の担当者によると、利用者は7月末で約9千世帯で、「少しずつ利用が増えている」という。高齢者が玄関先にごみを出していないと呼び鈴を鳴らし、安否の確認もしている。応答がないと緊急連絡先に知らせるなどの対応もとっている。

「玄関に倒れていたこともあった。救急車を呼んで対応できたことが何件かあった」(担当者)

 ごみ出し支援は高齢者にはありがたいが、自治体にとっては人手や手間など負担が大きくなる。横浜市はボランティアの活用を考えたこともあったが、うまくいかなかったという。小中学生や地域住民などから募ろうとしたが、知らない家に生徒などを行かせることに難色が示され、市職員が担当することになった。

■ごみ収集の現場 人手不足が深刻

 横浜市の担当者は「職員は確保できているが、作業時間も増えてくる。収集の仕方は工夫している」と話す。マンションなら、大きな収集袋でまとめて収集するなど、「収集宅をいかに効率的に回るか」を考えているという。

 新潟市も高齢者などのごみ出しの支援をしている。利用者は今年1月に909世帯で、廃棄物対策課の担当者は「少しずつ増えている」という。専用ごみ袋などで、ごみ収集の有料化を打ち出し、「それを市民に還元する事業の一つとして、ごみ出し支援事業を始めた」(担当者)。

 同市では、ごみを高齢者宅から集積所へ運ぶのを、自治会などが支援する。可燃ごみの場合は、1回につき150円の支援金が出る。1回で150円の支援金の仕組みは「コストパフォーマンスはいいのではないか」と担当者は話す。

 地区社会福祉協議会やケアマネジャーなど「困っている高齢者の一番近くにいる人たちに利用を周知している」(担当者)という。

 ただ、ごみ出し支援の利用希望者が制度を知っていても、地元の自治会などが支援活動をしていないと利用ができない。市の担当者は「市内全域をカバーできていない」とも話す。支援する自治会も、範囲が狭いと活動できるが、郊外など集落が離れていると活動は難しくなる。郊外などについては「地縁血縁、親戚関係などの助けで、制度には頼っていないのではないか」(同)とみている。

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