「星野県議から裏金要求」と主張する泉田裕彦議員
「星野県議から裏金要求」と主張する泉田裕彦議員

 泉田氏は経産省出身の官僚で、2004年から2016年まで3期、新潟県知事を務めた。その後、衆院議員に転出し、新潟5区が地盤で当選2回。10月末の衆院選では森民夫元長岡市長が無所属で立候補し、保守分裂となり、小選挙区では落選、比例復活となった。

 星野氏は新潟県議当選12回、田中角栄元首相の後援会「越山会」の元幹部、県議会議長も経験している。星野氏のことを「新潟のドン」と呼ぶ人もいるという。

 泉田氏が県知事時代から2人は緊密な関係で、「泉田氏を衆院議員に」と強く後押ししたのも星野氏だった。自民党の新潟県議はこう話す。

「あの声は星野氏と似ている。政党活動費と星野氏は言っているが、ちょっと苦しい印象だ。『撒こう』とか2千万円、3千万円と具体的な数字を出しているからね。新潟5区は、田中角栄元首相の地盤でもあった長岡市などが含まれる。古い人に聞けば、当時はお金が飛び交ったという人はいます。しかし、今は時代が違うし、広島の公職選挙法違反事件もありましたからね。けど、結局、録音データはあってカネを要求されたが、動いていない。なぜ、泉田氏はここまで大騒ぎするのかな。次の衆院選で定数が減ることが関係しているのだろうか。騒ぐことで有利になると見ているのかな」

 総務省は衆院小選挙区の定数是正について「国勢調査人口(確定値)に基づく計算結果の概要」を11月末に発表。新潟県も次の衆院選では、区割りが見直され、新潟県は6つの小選挙区から1減の5つとなる見込みだ。自民党は候補者調整が不可欠となる。

「自民党の公認争いは熾烈になるだろうね。選ぶのは自民党新潟県連が中心になるので、星野氏を追い落としたいと泉田氏は考えたのかな。それ以上に、泉田氏の記者会見があまりに強烈で騒動が大きくなり、事件になりかねないと心配している」(前出・県議)

 泉田氏は記者会見で刑事告訴については言及していない。元東京地検特捜部検事で、自身も国政選挙に立候補した経験がある落合洋司弁護士はこう話す。

「2千万円、3千万円という数字を星野氏が泉田氏の前で具体的に言っているので、録音データを聞けば確かに怪しいカネの印象は強い。私も弁護に関わった広島県の河井克行、案里夫妻の公職選挙法違反事件で買収に使われたのは、約2900万円で約100人に撒かれた。市議、県議の相場が20万円から30万円なので、今回の2000万円から3000万円というと、地方の相場として金額的に符号する。しかし、録音データでは、何のためのカネか星野氏は具体的には語っていない。裏金で買収に使うのか、政治活動の資金なのか、わからないですね」

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選挙費用の実態は?