「試合のボールは、変化球がよく曲がるなという感じはあった。ただ、プレミア12と同じもので経験があったので違和感はなかった。それもあって、最も自分に求められる安定的な守備でしっかり貢献できた。東京五輪は大勢のお客さんの前でプレーできると楽しみにしていたので、無観客は正直、やりづらかった。選手の声が筒抜けで、グランドにいるとすごく響くんですよ。これまでにない空気感で余計にプレッシャーが増幅されましたね。子供の頃から五輪は大観衆の前でやるもんだとばかり思っていましたからね」
◆ウイニングボールは坂本勇人に譲る
――ライバルのアメリカとは決勝リーグ初戦がサヨナラ勝ち、強豪・韓国とはベスト4で対戦し、勝利。決勝戦もアメリカに勝って見事、金メダルでした。
「国際大会だと、アメリカや韓国が日本のライバル国として注目されます。しかし、ドミニカ共和国やメキシコなどもメジャーリーグや日本で活躍する選手がいて、強いですよ。試合前には徹底的にビデオやスタッフの助言で研究して臨みますが、データは限られているので、初対戦で真っ白な状態で対決というのもシーズンとは違い、難しいところでした。そこをカバーしてくれたのが日本のまとまったチーム力です。4年間で稲葉篤紀監督、コーチが限られた練習、試合スケジュールの中、一体感あるチームに仕上げてくれたと感謝しています」
――決勝戦のアメリカ戦で2点リードの9回表2アウトランナー1塁。ホームランが出れば同点という緊張する場面。最後はセカンドゴロで金メダルとなりました。
「東京五輪で一番、印象に残っているのが最後、自分にとんできたセカンドゴロです。ウイニングボールを獲りたいと、自分のところに飛んできてほしいと願っていましたね。その念力が通じたのか、セカンドゴロ。そのまま、セカンドベースを踏みに行こうと思ったのですが、ショートの坂本先輩がニコニコして、入っている。そこは先輩ですから、残念ながらトスしました(笑)。その瞬間、やったと最高の気分でした」