イベントで話すくさか里樹さん(撮影・堀井正明)
イベントで話すくさか里樹さん(撮影・堀井正明)
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 介護漫画の草分け「ヘルプマン」シリーズを描いた漫画家・くさか里樹さんを招き、「第0回ヘルプマン大会議in大阪」が12月5日、大阪・あべのハルカスで開かれ、介護関係者らが集結した。

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 2003年に始まった「ヘルプマン」シリーズが今年9月、本誌連載「新生ヘルプマン ケアママ!」の終了で完結したことを受けて開催。くさかさんは「百太郎(ももたろう)的“いんじゃね?”のススメ」の題で講演した。

「漫画家は読者の心を動かすのが仕事。介護も相手の気持ちを動かそうとする仕事ですよね。思いが通じたときは本当にうれしい。でも通じないこともいっぱいあって、そのときはすごくへこみます。どうですか?」

 参加者に問いかけて、自らの体験を語った。デビュー3年目ごろ、「常に他人の評価にさらされて」不安を抱えて仕事を続けてきたが、あるとき受けたダメ出しで心が折れた。やめる決意を固めたとき、ふと見た新聞に書かれた「他人と自分を比べる人生はみじめである」という言葉が心に刺さり、思い直していく。

「いんじゃね? 読者に笑われても」と、いい意味で開き直ることができて、そこから漫画を描くのが楽しくなったという。「今の自分でいんじゃね?」ということを描き続けて、出会ったのが介護というテーマだった。

「だめだめな主人公」恩田百太郎が介護の現実とぶつかって成長していくエピソードを紹介しながら、「できなくてもいんじゃね?」「幸せにしてあげなくていんじゃね?」「背負わなくていんじゃね?」などと、命と向き合う仕事だからこそ、うまくいかないときに自分を責めないでほしい、と語りかけた。

 多様性を認めて支え合うことが大切、と言われる時代。「介護の現場で働いている方は、間違いなく時代の何歩も先を行っている。そこに自信を持っていただいて、プラス『いんじゃね?』というのを、みなさん持ち帰ってください」と結んだ。

 第2部はシリーズに影響を受けた「リアルヘルプマン」によるシンポジウム。熱のこもったトークが続いた。大会議は毎年、各地で続けるという。第1回は来年、くさかさんが住む高知県での開催が予定されている。(本誌・堀井正明)

週刊朝日  2021年12月24日号