作家の室井佑月氏は、辻元清美氏の衆院選落選について記す。
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12月2日の「現代ビジネス」に「『女、女というから落ちたんだ』衆院選落選・辻元清美が直面した女性議員への攻撃」という記事があった。あたしは野党を応援しているので、ほんとうに辻元さんの落選は痛かった。彼女は与党のおかしさを国会で的確に追及できる人であった。
辻元さんはインタビューの中で、
「一番つらいのは、女性議員が10%下回ったことに逆の意味で貢献してしまったこと」
といっていた。日本のジェンダーギャップ指数は世界の中で下の下。人口の半分は女性な訳だから、女性の立場を守れるよう女性議員は多い方がいい。現在は少なすぎる。
そして、記事の中では、
「目立つ女性議員は特にネット上のミソジニーに晒されます。デマ攻撃も含めて、日常的にDVに遭っているような状態で、それが続くと精神的にもきつい」
ともいっていた。
実際にとても酷い。交流がある立憲民主党の議員に、なぜ同じ党の女性議員の誹謗(ひぼう)中傷をそのままにしているのかと聞いたことがある。なにしろ、彼女たちをかばったあたしまで攻撃の対象とされた。
そして、辻元さんは選挙中、日本維新の会や自民党から狙い撃ちにされたらしい。
「選挙戦の間、維新の松井一郎代表や吉村洋文・大阪府知事などが何度も10区に入った。(中略)鈴木宗男さんは辻元は『頭に虫がわいている』『人でなし』という内容をマイクでがなり、吉村さんからは『辻元は何も仕事していない』などと個人攻撃を受け、他の地域からも維新の府会議員などが何十人も入ってきて駅をジャックされ、何としても10区で私を勝たせまいという力を感じました。一方の自民党も安倍元総理や麻生さん、河野太郎さんまで大物が次々応援にきました」
野党の、それも目立つ女性候補だったからだろう。
記事の中で、辻元さんは今回の選挙戦の大きな争点としてジェンダー平等を掲げたが、選挙戦が終わると男性たちから「女、女と言っているから落ちたんだ」などという声を浴びせられたとも語っていた。ふと思う、その声の主の男性は本当に彼女の敵であったのか、と。