滋賀県守山市で男女2人に誘拐された女子高校生(19)が死亡した事件で、3人は薬物を過剰摂取し多幸感を得ようとする「オーバードーズ(OD)」の仲間として集まった可能性が報じられている。ODとはどういう行為なのか。専門家はその依存傾向と自傷行為との類似性を指摘し、危険性を強く訴える。
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滋賀県警守山署に未成年者誘拐容疑で逮捕された守山市の無職の男(38)、岐阜県関市の無職の女(21)と死亡した女子高生はSNSで知り合ったと見られる。男の部屋からは抗不安薬や睡眠導入剤、せき止め薬など約100錠分の薬の空箱が見つかっており、スマートフォンの解析や男女の供述などから「オーバードーズ仲間」だった可能性が浮上している。
ODは、医療機関で処方される睡眠薬や抗不安薬、市販されているせき止め薬などを過剰に服用し、精神的な苦痛を和らげようとする行為だ。近年、SNSなどでこの行為を告白する投稿が増え始め、若年層への広がりが懸念されている。
「快感があったとしても最初の頃だけ。絶対にまねしてはいけません」
ODをやめられない患者の臨床経験もある精神科医で心理学者の、ゆうきゆう医師(ゆうメンタルクリニック理事長)は強く警鐘を鳴らす。
ゆうき医師は「ODは薬物依存に近い」と指摘し、こう続ける。
「日常生活で強いストレスや不満を抱えているにもかかわらず、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、そのストレスを発散できない。こうした生きづらさを抱えている人や精神的に不安定な方が自分自身で解決しようと、ODをしてしまうケースが目立ちます」
ただ、ODによって本当の意味で自分自身が救われることはない。ゆうき医師はODを自傷行為に例える。
「自傷行為を行うと、脳から痛みをやわらげるためのドーパミンと呼ばれるホルモンが出ます。このドーパミンは快感ももたらすため、ちょっとした気持ちよさを感じるのです。しかし、自傷行為を続けるとドーパミンが出にくくなり、より深く自分を傷つけなければ快感を得られないようになってしまうのです。ODも自分の体を痛めつけているという点で、自傷行為に通じるものがあります」