もし仮に最初のころは気持ちよくなれたとしても、過剰服用を繰り返せばどんどん内臓が傷む。体調不良を起こし、救急搬送されるケースも少なくないという。ゆうき医師の患者にも、ODによって意識を失った人が過去にいた。
「ODを繰り返すほど快感は得られにくくなります。快感はないのに、大量の薬に手を出さずにはいられない状態に陥り、その結果、慢性的に体調が悪くなって苦しむことになります。そして最悪の場合、死に至るのです」
ゆうき医師によると、精神医療の世界では「アディクション(依存)よりコネクション(つながり)が重要」という言葉がよく使われるという。
ベトナム戦争に出征中に麻薬依存になった米軍人で、帰国してから依存がおさまった人の多くは、家族や友人など大切な人とのつながりを持つ人が多かったそうだ。「依存に対してもっとも効果的なのは、人とのつながりだと言われています」
ODをしてしまう人は、生きづらさや孤独感を抱えていたり、それぞれの事情があるのだろう。
「繰り返しますが、何があってもまねしてはなりません。特に市販薬は手に入りやすく気軽に手を染めがちですが、一度快感を覚えたらやめられなくなる危険性が高いのです」(ゆうき医師)
SNSでいかに効果が語られていたとしても、それは実態ではない。
一時の快楽の行きつく先が、自らの体を痛めつけ続ける“地獄”であることは、知っておかねばならない。(AERAdot.編集部・國府田英之)