序盤のパフォーマンスをこなした後、どこからともなくメンバーの声が聞こえた。
「これはいけるな」
その感触は、SKY-HIも同じだったに違いない。SKY-HIがようやくマイクを持ち、語りかけたのは、リハーサルも終盤になってからだった。
「MCの内容も含めて、ライブが終わりに近づいているという気持ちにさせることが大切だと思う。だから、曲が終わって音楽が流れているときに、一度全員でお辞儀をしていいと思うんだよね。観客の反応を待って、そのあとにしゃべり出す、という流れがいいと思うよ」
■よいものはすぐ褒める
LEOが率先して、このライブでMCを担当するSOTAとMANATOとともに、動きやタイミングを確認していく。それぞれがどれくらいの長さで話すかも確認していくと、SKY-HIは「そうだね」と、極めて自然に賛同した。
続いて、JUNONのボーカルパートのアレンジ。音響スタッフにSKY-HIが指示を出すと、JUNONも自ら「お願いします!」と声をあげた。
確認用のオープニング映像が流れ、MANATOが画面に映ると、LEOが「かっこいい!」と大きな声で褒めた。
これも、取材で印象的だったことのひとつだ。BE:FIRSTのメンバーは、当人がその場にいてもいなくても、仲間のことをまっすぐによく褒める。
すると、SKY-HIが「照明、いいねえ」と照明の演出を褒めた。よいと思ったことをすぐ表現するのは、どうやら社是のようだ。現場の士気が高まっていくのを感じる。
7人はその後も細かい確認を続け、やがて引き締まった表情でリハーサルを終えた。
「みんな、はけるよ~!」
LEOが明るく声をかけ、撤収していく。指示する際も命令口調にならず、明るい口調でフラットに呼びかけたり、冗談を交えたりする。
そのコミュニケーション法は、SKY-HIの姿を見るうち、身についたものかもしれない。そう思わせる出来事が、その後起こった。
■指示は気持ちよく出す
メンバーが退出してから、SKY-HIとスタッフが演出を確認していた時のことだ。ある楽曲の演出が、SKY-HIの当初の想定と違う仕上がりになっていることがわかった。