お菓子やポーチ、日用品などが詰まったプレゼントボックス。クリスマスプロジェクトの詳しい情報はこちら。
https://www.hf-f.com/charity-for-christmas2021/
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「8年前に離婚してから毎年、12月のこの時期は、どうやって年末年始を乗り切ろう……と頭を抱えていました」

 福岡県在住の山本玲さん(仮名・38歳)はこう話す。

 元夫と別れた当時、子どもは4歳と2歳。専業主婦だった玲さんは子どもたちを保育園に預け、パートタイムで働き始めるも、時給はわずか850円。子どもが熱を出したりして仕事を休めば、そのぶん収入は減る。月5万円と決めた元夫からの養育費もすぐに途絶え、生活は困窮を極めていた。

「とくに年末年始は、パートの仕事も休みに入ってしまうので、金銭的にきつかったんです」

 少し成長した子どもたちは、サンタに向けて「○○が欲しい」などと手紙を書くようになった。でも、はやりのゲームなどは高すぎて、とても買ってやれない。玲さんは「サンタからのサプライズ」として、学校で使う用のリュックなど必需品を買い、その中にスナック菓子などを詰めて枕元に置いた。子どもの希望をかなえてやれないのが切なかった。

 忘れもしないのは、3年前のクリスマス。子どもたちと家で過ごしていると、ピンポンとチャイムが鳴り、「ハートフルファミリー」という団体から宅配便が届いた。

「何だろう?」

 開けてみると、中にはお菓子や文房具などのプレゼントがぎっしり!

「ふだん荷物なんて届くことがないので、子どもたちは大喜びで、奪い合うようにして箱を開けて……。母子だけのさみしいクリスマスが一気に華やぎました。中には母親である私向けのプレゼントも入っていて。私自身、何年もクリスマスプレゼントなんてもらったことがなかったので、うれしかったですね。何より、私たち母子のことを気にかけてくれる人たちがいるということがありがたくて、励みになりました」

 毎年、恒例になったクリスマスの宅配便を、玲さんも子どもたちも楽しみにしている。

 玲さん母子を励ましたクリスマスプレゼントを届けたのは、シングルマザーおよびシングルファザーの総合的な自立支援活動を行う一般社団法人「ハートフルファミリー」。ひとり親家庭の子どもたちに向けてクリスマスプレゼントを配布し、サプライズとエールを送る取り組みを5年前から実施している。今年からは『HIGH FIVE CHRISTMAS #ひとり親家庭のサンタになろう』とネーミングし、ボランティアとして多くのサンタを募った。

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クリスマスなんて来なければいいのに…