西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「猫の生き方、犬の生き方」。
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【見習う】ポイント
(1)猫がとにかくマイペースなのには感心する
(2)犬はその本性で、人を癒やすことができる
(3)猫、犬に一番学びたいのは、今を生きているところ
私は気楽な一人暮らしで、ペットは飼っていません。しかし、猫とは付き合いがありました。その猫は「りゃんちゃん」といいます。病院の開設以来の同僚で、過日亡くなってしまった元看護師長のペットでした。
彼女には、時々夕食をごちそうになりました。そのときに、出迎えてくれるのが、りゃんちゃんだったのです。といっても、たいてい彼は指定席の籐椅子の上でうずくまって寝ているのです。実に気持ちがよさそうです。
「りゃんちゃん」と声をかけると、目を開けてこちらを見るだけで、動こうとしません。
だからといって、私のことを覚えていないわけではないのです。私がソファに座って、置き炬燵風の食卓に向かって一人で杯をかたむけていると、りゃんちゃんは、わざと私の足の前の狭い隙間を通るのです。それが、りゃんちゃんの親愛の情の表現だと思うと、なんとも可愛く感じます。
だからといって、背中をなでてやっても、知らないふりをします。とにかくマイペースなんですね。そのふるまいには感心します。
「猫を被る」という言葉がありますが、その意味は「本性をかくし、おとなしそうに見せかける。また、知っていながら知らないふりをする」(広辞苑)ことです。これは猫のふるまいから生まれた言葉だと思うのですが、なかなかレベルの高い行動です。猫はこうした高度なふるまいで、マイペースであることを維持しているのではないでしょうか。見習いたい気持ちになります。