ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のシンバちゃんです。
【写真】こんな姿見たことない! 枯れ葉をやさしく抱えて立ち上がる猫
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4年前のまだ肌寒い4月。会社の駐車場に着くと、花壇に白く小さなものが……。
「こんなところにゴミを捨てていくなんて!」と、車を降りた私はそれに手を伸ばし、驚いて尻もちをついた。
ハムスター? 白く小さな毛玉には、手足と尻尾があり、拾い上げると冷たかった。急いで菓子の箱に入れ、自分のデスク下のヒーターで温めた。しばらくするとごそごそっと動きだしたので、安心した。お弁当にはレタスを入れてきたから、お昼になったらあげてみよう。そう思った。
しばらくすると、それは、みぃ、みぃと虫のような鳴き声をあげた。隣の席の先輩がのぞき込んで絶句する。「子猫じゃない!」。そう言われて初めてそれが猫だと気が付いた。おなかにはまだへその緒が付いていて、目も開いていない。
先輩は箱ごと子猫を持ち上げると、「ガムシロ、持って来て」と言った。先輩がガムシロップで鼻のあたりを湿らせると、子猫は小さな舌で鼻をなめた。先輩と私は顔を見合わせてほほ笑んだ。
定時で上がった私は、子猫のために哺乳瓶や粉ミルクを購入した。会社全体で黙認してくれたおかげで、会社に連れていくことができ、授乳も欠かさずできた。里親を探したが、衰弱した子猫をもらってくれる人は見つからなかった。
2週間ちょっとすると目が開いた。めろめろになるくらい可愛かった。
その魅力は自分の猫アレルギーをどうでも良いと思えるくらいの破壊力で、私はこの子の一生を預かろうと決心した。
無事育つか心配されたその猫シンバ(写真、4歳、雄)は少しぽっちゃりになって、今日も元気に一人運動会をしている。(静岡県富士宮市/44歳/事務職)
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※週刊朝日 2021年12月31日号