確かに、新今宮駅はJRと南海電鉄が乗り入れ、関西空港への特急も停車する。観光客が拠点とするには良い立地だ。
一方、新今宮駅の南側に接している西成区には、日雇い労働者の街として知られた「あいりん地区」があり、いまだ治安が悪いというイメージを持つ人も多い。星野リゾートというブランドを掲げて、新今宮に新ホテルを開業するということに、社内で反対意見などは出なかったのだろうか。
「確かに、社内にも大阪や関西出身のスタッフは多いので、地元の人からすると新今宮にホテルが建つことに、驚きや不安の声はありました。しかし、新今宮がOMOのコンセプトに最適な場所であることが理解され、結果的には公募で募った開業メンバーの約4割が関西出身者になりました。地元を知っているスタッフが、よりディープな大阪観光のあり方をお客さまに伝えていきたいと思います」
地元住民の反応はどうだったのか。11月11日付の毎日新聞デジタルでは「星野リゾートで変わる新今宮 地元・西成で懸念の声が上がる理由」と地元の懸念を伝える記事も配信された。
中村さんは「これまでの星野リゾートの施設開業の中では反応が大きいことは事実」とした上で、「反対運動のような動きはない」と話す。
「星野リゾート=高級、というイメージで『このエリアに星野リゾートができるなんて』という反応があったという印象です。そうした声に関しては、OMOというブランドは街を楽しむ都市観光ホテルで、ラグジュアリー、高級とは少し違うということ、地域の魅力をお客さまにご紹介し街を楽しんでもらうスタンスであるということを伝えて、理解していただけるよう準備しています」
全国各地のOMOでは、OMOレンジャーと呼ばれるスタッフが地元の飲食店などを案内する企画がある。大阪でも同じようにツアーを企画する予定だという。
「ホテルが建つことで、飲食店の方からはホテル内で食事が完結する印象を持たれるかと思いますが、私たちはお客さまにどんどん街に出てほしいという思いで準備しています。そうした面でも地域の方と密接に連携していきたいと考えています」