冒頭で紹介した中居の発言は、今後の業界内の動きを示唆していると思われる。芸能プロの業界団体・日本音楽事業者協会(音事協)は12月下旬に週刊誌やネットメディアなど一斉に文書を送ったからだ。

「内容は、芸能人のプライベートな活動に関する報道は権利を侵害するのでやめるようにと忠告するもの。近年、本人のみならず家族にまで取材が及ぶようになったことや、芸能人のプライバシーは守られるべきだという世論も醸成されているなどの理由が挙げられていました。業界団体が腰を上げた意義は大きいと思います」(前出の週刊誌記者)

 芸能報道は今後、どうなっていくのか。芸能評論家の三杉武氏はこう予測する。

「これまで、スキャンダルに対して芸能人が直接コメントや反論することは少なく、その“代弁者”として芸能リポーターや芸能記者がいました。テレビのワイドショーで芸能人の思惑も交えつつスキャンダルを解説したり、スポーツ紙の紙面で芸能人の言い分を紹介したりすることでバランスを取っていたのです。ただ、最近は芸能人が一般社会との距離を縮め、カリスマ性よりもSNSなどで好感度や親近感をアピールするようになると、代弁者を介する必要もなくなりました。結果、芸能リポーターやスポーツ紙の記者の存在価値は希薄になってきています。一方で、芸能人のスキャンダルを追う週刊誌やネットメディアは何とかして読者や世間の注目を集めなければならず、記事の中身がより過激化していったことが、今のような事態を生んでいると思われます」

 令和の時代となり、芸能マスコミの在り方も岐路にあるのかもしれない。(黒崎さとし)

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