女性の研究者が心地よく研究ができ、やりたいことを実現するために何を望むか。それは当事者の女性じゃないとわからない面が大きい。そのためにも、教授や准教授として学内の行政の仕組みに対して発言できる立場の女性を、限定公募という方法をとってでも増やしていかないと次に進めない。そこの危機意識だと佐藤さんは言う。
「私たちは理工系大学。社会課題の解決が最も大きな目標です。社会の半分は女性ですし当然、性別を問わない多様な目で課題を考え、答えを出していく必要がある。公募はその成果につながる意義があると考えています」
■多様性増すための投資
今回の取り組みは、各部局からの要望を加味した教員採用枠とは別途、新たな「外枠」として設けた追加公募だ。2030年までに20%という数値目標も、もちろん目指す。しかし、本気で多様性を増すために大事なのは「投資」だとも話す。
「ダイバーシティーを定着させるために、『何人採用して、うち何割は女性にします』だけでなく、『増やしたい分だけ、さらに採用します』という発想を、社会全体で考えていく必要がある。その投資にはいつか必ず、リターンがあるはずだと思います」
(編集部・小長光哲郎)