■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
ずっと描き続けた“聖母”の様々な変形である“母”のテーマに今回加わったスペイン内戦時代の“痛み”。スペイン人にとって忘れがたいこの時代を自作の映像に登場させたアルモドバルは、彼もまたスペイン男、としみじみ思う。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
赤ん坊をめぐってジレンマに苛まれる母親と、スペイン内戦という重い過去の克服。ふたつの題材を両立させるために、アルモドバルは無理をしているが、それを差し引いても、ペネロペの存在感や演技には一見の価値がある。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
やっぱりアルモドバルはエロティックでミステリアスだから身体がずっとソワソワします。ショッキングなことがあってからの切なさに、今度は胸が張り裂けそうに。自分がこの仲間だったらと考えると皆に寄り添いたい。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
以前にも母を題材にしてきたアルモドバルの集大成とも言える内容で、今作でも母に対する愛憎が語られる。先の読めない展開と思わぬ偶然が巻き起こすドラマを、ペネロペ・クルスの演技が支える。品格のある演出も見事。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2022年11月4日号