今回の合格で「弁護士じゃない」の「じゃない」が取れる。
「『たたいてよし』の空気が今回の合格で変わればいいなと思いますが、秋篠宮家への批判的な空気は残る可能性があります。そう簡単に変わらないかもしれない、とも思っています」(矢部さん)
昨年10月、宮内庁は眞子さんが複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されていたと明かした。小室さんとの結婚を巡り、「誹謗(ひぼう)中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験された結果」という。
来年度予算の概算要求で宮内庁は、SNSなどを使った情報発信の強化を検討・実施するため、参事官ポストの新設を盛り込んだ。その狙いを元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司氏はこう話す。
「眞子さんの複雑性PTSDの件もあり、今のネット社会を視野に入れて今後の広報体制を強化することが目的でしょう。週刊誌などの看過できない報道に対しては以前から宮内庁のホームページで誤りを指摘していますが、SNS上などの誤った情報には対応できていない。ただし、どの程度の内容で訂正の公表や抗議をするかの線引きはあいまいで対策が難しく、投稿者を特定して対応していくといったことはまだまだ先の話です」
皇室と憲法の関係に詳しい横田耕一・九州大学名誉教授は「天皇や皇族にも名誉を守られる権利は保障されます。名誉などの権利が守られるのに日本国民であるかどうかという議論は必要がない。まして小室さんは『元皇族』の夫で一般人ですから、度を越す誹謗中傷に対しては訴訟を起こしていけばいいでしょう」
実際にどんな表現が罪になるのか。ネット上での誹謗中傷の削除の訴訟を多く手がける小沢一仁弁護士がこう解説する。
「たとえば『裏口合格』という一言だけだと微妙ですが、『誰にかけあってこういう事情で裏口合格した』と、ある程度具体的な事実とともに指摘していた場合は名誉毀損にあたる可能性がある。また、『詐欺師』といった表現も、文脈によっては『詐欺をしている人』と解釈でき、名誉毀損(きそん)に当たる可能性がありますし、そこまで言えなくても、名誉感情を害するとして侮辱罪に当たる可能性があります」
英国ではハリー王子と妻のメーガン妃が、プライバシー侵害や名誉毀損にあたるとしてタブロイド紙などを訴えた。ついに弁護士資格を得た小室さんの「反撃」はあるだろうか。(本誌・佐賀旭、秦正理)
※週刊朝日 2022年11月4日号