外貨預金が人気だ。急速な円安・ドル高が落ち着いた今でも取引は引き続き堅調という。円建ての資産だけに投資していては得られない高い金利や、リスク分散効果が魅力のようだ。その魅力とともに、気をつけるべきリスクを探った。
【図で確認】外貨定期預金の金利を引き上げた主な5銀行はこちら
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「外貨預金残高は日本円に換算すると波はありますが、現地通貨ベースでは今年に入ってからも着実に増えています」
SBI新生銀行の担当者はこう話す。昨年進んだ円安・ドル高を背景に人気を集めてきた外貨預金には、通貨別に普通預金と定期預金がある。普通預金は預け入れや払い戻しがしやすく、為替差益を狙った売買も多いとされる。
昨年は年初に1ドル=115円台だったドル・円相場が10月に一時151円台まで進むなど、値動きは大きかった。例えば年初に10万円分のドルを買った人は、高値でうまく売り抜けられれば、税金などを考えない単純計算で3万円あまりの利益が出た計算だ。
一方で定期預金は原則、一定期間払い戻しができない。代わりに、普通預金に比べて金利が高い。昨年は3月以降、米国の中央銀行が利上げを続けてきたこともあり、ドル建て預金の金利を引き上げる銀行が相次いだ。金利がより高い定期預金に魅力を感じて利用する客は増えた。
1年前に0.4%だったSBI新生銀の米ドルの1年物定期預金の金利は、段階的に引き上げられ、直近の1月19日時点ではその10倍超の5%と過去最高水準になっている。
ネットバンク、ソニー銀行の1年物のドル定期預金金利も4.5%と、昨年1月末の0.3%から15倍、住信SBIネット銀行も1年前の0.45%から4.6%へと10倍を超える水準にそれぞれ引き上げた。「金利引き上げ競争」とも呼べる状況となり、今では4%を超える銀行はいくつもある。
外貨預金の人気は、ドル安・円高方向に転じた昨秋以降も続いている。ソニー銀の広報担当者は言う。
「昨年11月以降は落ち着いていますが、今年1月の米ドル普通預金の購入(18日時点)は、円安が進む前の22年2月の1カ月分に比べてすでに2.3倍に上っています」