2024年になっても中古車相場は
割安には戻らないかもしれない

 さて、これだけの状況であればあと2年ほど中古車価格が異常な時期が続く一方で、2025年頃には中古車相場は徐々に適正レベルに戻っていくことが予想できそうです。

 しかしながら、それ以外の中古車需要増要因があるために、中古車相場が2019年以前の割安な水準にまで戻るかどうかはまだわかりません。それらの要因を検討してみましょう。

 ロシア以外の中古車の需要増要因は、三つあります。

(1)国内の物価高で新車をあきらめて中古を購入する世帯が増加している
(2)中東などで日本の中古車の重要が増加している
(3)アメリカで日本車のビンテージ需要が増加している

 3番目の要因は面白いのですが、全体への影響は軽微でしょう。アメリカでは発売から25年過ぎた自動車はビンテージカー扱いになるため、右ハンドルの日本車が輸出できるようになります。ちょうど1990年代に活躍した日本のスポーツカーが、映画『ワイルドスピード』の影響などもありアメリカでは高値で取引されています。

 2番目の要因については、日本車が他の海外メーカーと比べて高品質であるため、中古寿命が長い点が有利に働いているようです。同時に今後も長く続く需要増要因だと思います。国内の中古車のオークション相場が上昇しているというのが今回の記事の発端ですが、ロシアであれ中東であれ、オークションで落札された直後に海外に積み出される中古車は多いので、これら海外需要はこれからもオークション価格に大きく影響すると思われます。

 ただこれらの要因を一つ一つ見ていくと、この先に一番長く、かつ大きく影響を与えそうなのが「新車を諦めて中古品を選ぶ日本人の消費者の比率がどれだけ増えていくのか」という話になりそうです。

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「新車を買えない消費者」の増加を防ぐ手段とは?