日本、北米、欧州の3地域対抗団体戦・ジャパンオープンで、イリア・マリニンが公式練習で「4回転6種類7本」のジャンプ構成をやってのけて注目を集めた。男女シングルで争われた本大会は互いに刺激を受け合う内容となった。AERA 2022年10月24日号の記事を紹介する。
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ジャパンオープン男子シングル最終滑走のイリア・マリニン(17、米国)に目を奪われた。演技前から笑顔で、緊張する様子をまったく見せない。冒頭の4回転半は手を着いたものの、何よりその高さが印象的だった。残る4回転4本は、すべてを軽やかに決め不安要素を感じさせない。柔軟性をアピールするスピンや、片手側転など、見どころのあふれるプログラムだった。
「今日の4回転半はうまくいきませんでしたが、跳び方の感触はつかめています。ミスした時はどこに課題があるのか考え、解決する練習をしてきたので、理論は理解できています」
4回転半に刺激を受けたかと尋ねると、宇野昌磨(24)はこう答えた。
「華やかな新しいジャンプに目がいきがちだと思いますが、僕が刺激を受けたのはほかの4回転のほうです。マリニン選手はすべてのジャンプをすごく楽に安定して跳んでいて、なにかやり方があるんじゃないかなと思いました。4回転半は一度練習してみましたが、僕にはできないな、というのが結論でした」
■余裕があれば5回転も
マリニンと同じ17歳の三浦佳生(かお)も続ける。
「たしかに3回転を跳ぶかのような軽さで4回転が跳べちゃうので、どうしてそんなに軽く跳べるのか、何かがきっとあると思うので、それを見つけたいです。そして僕は4回転半をやろうなんて思っていませんが、5回転サルコーを一度だけ締めたことがあります。半回転くらい足りずに転倒して身の危険を感じたので、マリニン選手はチャレンジ精神がすごいと思います」
日本の2人からほめられ、マリニンも笑いながら答える。
「5回転についてはチームでも相談はしましたが、今季はまず自分が自信を持てる4回転5本に集中していきたいと思います。シーズン後半には4回転7本に挑戦するかもしれませんし、気持ちに余裕があれば5回転も試すかもしれません」
得点は、技術点はマリニンが106.84点で首位。ただし、演技構成点は宇野が計90点台、マリニンは計80点台で、宇野が総合首位となった。宇野は言う。