日本の火力発電では、液化天然ガス(LNG)を使う設備が少なくないが、昨年のLNGの輸入量は、8・8%がロシアからだった。その大半は日本の商社も権益を持つサハリンからとみられる。ロシアによるウクライナ侵攻で日本はロシアに経済制裁を課しており、ロシアが契約通りにLNGを供給してくれるのかという懸念もある。

 ドイツなどの欧州は、パイプラインでロシアからの天然ガス供給に大きく依存してきた。しかしロシアへ経済制裁を行うなかで、供給が途絶えてきているという。設備の修理や、何者かによるパイプラインの破壊などが理由で、破壊がロシアによる報復措置なのか、真相は不透明なままだ。

 日本でも、契約通りにサハリンからLNG供給を受けられなくなると、火力発電の供給力が想定通りにならず、供給不足に陥りかねない不安が残る。

 そんな冬場に、エアコン暖房に頼っていると、政府からの節電要請を受けて寒い冬を過ごすことになる恐れもある。ファイナンシャル・プランナーの風呂内亜矢さんは、上手な電気の使い方や、電気だけに頼らない暖のとり方をアドバイスする。

 冬場によく電気を使うのは、エアコンと冷蔵庫だ。それらを賢く使う方法があるという。エアコンはこまめにフィルターを掃除し、温度設定を控えめにする。「冷蔵庫は強中弱の温度設定にできることを知らない人が多い」(風呂内さん)。電力需給がひっ迫した緊急時には弱にするだけで手間をかけずに節電ができるという。

 長期的に節電して電気料金を減らすことを考えるなら、エアコンなどを省エネタイプに買い換えるのもいい。比較できるサイトがあり、現在使用中の電気製品と、買い替え候補の製品を入力すると、どれぐらいの節電、電力料金の節約になるかシュミレーションしてくれる。

 手軽な暖房器としては湯たんぽがある。首や手首、足元を温めるだけで、暖かく過ごせる。

 部屋全体を温めるとコストがかかるため、「こたつを使うのもよく、温める場所を狭くして、扉を閉めたりカーテンを閉めるといい」(同)と話す。電気カーペットや断熱性の高いカーペットを使うことや、さらにフローリングに断熱シートを敷いたうえでカーペットを敷くことも勧める。
 風呂内さんは「防災グッズが役に立つ」と話す。体をアルミのシートでくるんだり、新聞紙を体に巻いたりするだけでも、体が冷えにくくなるという。停電なども想定するなら、カセットガスコンロやポータブルバッテリーなどを備えておくのもいい。風呂内さんは「節電というよりは、リスクマネジメント」だと強調する。

 今年の冬は電力危機にならないことを祈りたいが、電気料金が高騰しているため、生活防衛の視点からも節電策の導入が避けられなくなっている。今年の冬は賢く、暖かく過ごしたい。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン記事

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