SI接頭語は現在、10の24乗を表すヨタから、10のマイナス24乗を表すヨクトまで20種類が定められている。そして、今年11月に開かれる国際会議で10の27乗・30乗と10のマイナス27乗・マイナス30乗を表す四つの接頭語が新たに加わる見込みだ。SI接頭語を定めるのは国際度量衡総会で、1960年にテラからピコまでが定められた。その後複数回にわたって拡張され、今回は91年以来31年ぶりの更新となる。

「一部の接頭語は古くから使われており、統一の必要があったことから国際基準として60年に初めて定められました。その後、64年にフェムトとアトが加わりましたが、これは原子・分子・素粒子の大きさの記述に便利ですし、また、レーザー技術の発達により、フェムト秒レベルでの原子の振る舞いが捉えられるようになるなど必要性が生じてきたことが大きな理由です。また、75年に定められたペタとエクサは、X線やガンマ線など非常に大きな周波数を持つエネルギーの波動を記述する際にとても便利です」(清水さん)

AERA2022年10月10-17日合併号より
AERA2022年10月10-17日合併号より

■「メガバンク」の始まり

 一方、91年にゼタとヨタ、ゼプトとヨクトが制定された背景はそれ以前とやや異なるという。

「これらは当時すぐに使う場面があったわけではなく、急速な科学技術の進歩に伴いいずれ使われる可能性があること、業界ごとにSIルールと異なる表現方法が生じないようにする必要があったことから予防的につくられたものです。今回の拡張も同じ理由で、今現在10の30乗を表すクエタを使う必然性がある場面はありませんが、やはりあらかじめ科学の進歩を先読みしてつくられたのです」

 さて、冒頭の高校生の疑問に戻ると、あまたある「メガ語」のなかでも特に一般的な「メガバンク」という言葉が日常的に使われるようになったのは、1999年ごろからだ。それ以前にも時折新聞紙上などに登場していたが、頻度はごく限られた。ところが99年8月、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が共同持ち株会社を設立して全面統合することを発表すると、日本経済新聞が「誕生メガバンク」と題した連載を行うなど、各紙に「メガバンク」という見出しが躍るようになる。さらに、同年10月には住友銀行とさくら銀行の全面提携が発表され、「日本の金融界は一気に『メガバンク時代』に突入」(日経新聞99年10月14日)、以降今日までに、朝日新聞に限っても確認できただけで2千回以上メガバンクという言葉が使われている。

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