急逝した三遊亭円楽さん
急逝した三遊亭円楽さん

「笑点」でおなじみ、「腹黒い人」のキャラで笑わせ、政権批判や時事ネタで共感を呼んだ落語家の三遊亭円楽さんが9月30日、肺がんのため死去した。72歳だった。

【写真】私服姿の三遊亭円楽さん

 円楽さんは東京の下町に生まれ、両国や深川の中学・高校に通い、青山学院大学法学部に進んだ。当時の言葉でいえば生粋のシティーボーイだ。大学時代は折しも70年安保、全共闘運動の最盛期。円楽さんはブント(共産主義者同盟)のメンバーとして赤ヘルをかぶって活動していた。

 やがて運動に挫折し、もう一つの居場所だった落語研究会に軸足を移していく。在学中に五代目三遊亭円楽の鞄持ちを経て入門。こんな出自と経歴につきまとう恥じらいと衒(てら)いがないまぜになって、自他ともに認める腹黒キャラをつくり上げたのではないだろうか。

 旧名の楽太郎は、大師匠六代目三遊亭円生の命名による。1976年7月に二ツ目昇進。ほぼ1年後に「笑点」レギュラーとなり、若さと男前でたちまちスターになった。ただ、78年の落語協会の分裂騒動で三遊亭派は協会を離れ、寄席出演の機会もなくなった。

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