竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】予想を超える売れ行きを見せている商品がこちら

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 ローソンでは2020年6月から「無印良品」の実験販売を開始。今年5月からは全国への展開を始めています。そんな中「これがそこまで売れるとは」と嬉しい誤算だったのが、洗顔に使う「泡立てネット」です。

 無印さんと言えばカレーや不揃いバウムなどが人気の売れ筋商品。泡立てネットがよく売れるのは、コロナ禍の巣ごもり需要もあり、ローソンが「日常使いの店」として認知されてきている証しではという手応えも感じています。

 これまでにも「意外に売れた」商品はありました。たとえば「バスチー バスク風チーズケーキ」。ヨーロッパのバスク地方で食べられているチーズケーキを参考にしたとの提案で試食した時、これはいけると思い、価格も当時コンビニスイーツで言われた「200円の壁」を取っ払う200円超えに設定。さてどうなったか。「1秒間に4個売れている」と話題になる大ヒット。さすがにここまで売れるとは全くの予想外。自分たちの感性に素直に、商品を作る。以来、結果を見るのがすごく楽しみになりました。

洗顔に使う「無印良品」の「泡立てネット」が好評で、予想を超える売れ行きだ
洗顔に使う「無印良品」の「泡立てネット」が好評で、予想を超える売れ行きだ

 他にも、たとえば「マチノパン」シリーズは「マチのパン屋さん品質の袋パン」を作ろうというアイデアから生まれたもの。目指したのはマチのパン屋さんにも負けない品質。この秋、新しい商品も発売予定です。

 また、コロナ禍で需要が高まる冷凍食品でも攻めました。今年に入って「真鯛お刺身」「カンパチお刺身」「牛ユッケ風」「鮮馬刺し赤身スライス」を発売。お酒のお供にとお客様に大好評です。これも最初、正直「やりすぎでは」と思ったんです。年に何回も食べるものではないと。でも、結果はうれしい誤算でした。売れる、売れないはなかなか狙い通りにはいきません。ただやはり、枠にとらわれない自由な発想が何よりも大切だと強く感じています。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2022年10月10-17日合併号