AERA 2022年10月3日号より
AERA 2022年10月3日号より

 発達障害は脳の先天的な発生・発達の偏りによる。対人関係が苦手で感覚の過敏や鈍さを伴うこともある「自閉スペクトラム症」、読み書きに困難を抱える「学習障害」(LD)、落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)の主に三つに分類される。特性は一人一人異なり、複数の特性が重複していることもよくある。強度行動障害は知的障害とASDが伴う場合が多い。

 文部科学省の2012年の調査では、「発達障害の可能性のある児童生徒」の割合は、全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒の6.5%で15人に1人の割合だ。ASDは米疾病対策センター(CDC)の18年の分析で、4歳児は59人に1人、8歳児は44人に1人。これらの値は、発達障害の認知度の高まりとともに専門機関での受診が増えたことで増加傾向にある。

 鳥取大学大学院の井上雅彦教授(応用行動分析学)は、発達障害の子どもの支援は十分ではないと語る。

「そのために、発達障害がある子を抱える親は、高い養育ストレスを抱えていることがわかっています。米国での最新の研究ではASDの子どもを持つ親の31%がうつ、33%が不安障害、10%が強迫性障害などの可能性があると指摘しています。特に母親は子どもと接する時間が長いので、負担がかかり、バーンアウト(燃え尽き)の可能性も高くなります」

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年10月3日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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