一方、羽生も棋王戦では勝ち残っている。9月14日、広瀬章人八段(35)を下してベスト4進出を決めた。広瀬はポジション的に現タイトル保持者に次ぐ格であり、これから始まる竜王戦七番勝負では挑戦者として藤井に相まみえる。その広瀬に堂々と勝つあたり「レジェンド健在なり」というよりない。

 羽生は次戦、伊藤匠五段(19)と対戦する。こちらも将棋界の未来をうらなう大きな一番といってよい。伊藤は藤井と同学年の超大型新人。今後は藤井のライバルとして、数多くのタイトル戦を戦うであろうと目されている。「19歳五冠」が実現した現在では感覚が麻痺(まひ)してしまいそうになるが、「19歳五段」といえば前途洋々たる有望株だ。

 昨年度、藤井と伊藤はともに年間勝率が8割を超え、わずかな差で伊藤が勝率1位となった。藤井がデビュー以来続けてきた勝率1位は4年連続でストップしたが、それもまた羽生に並ぶすさまじい記録だ。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ