歌詞は謡曲「敦盛」ながら、メロディーは今どきJ-POPというミスマッチ。歌の不安定さと相まって絶妙な脱力感を醸し出すトンチキソング・オブ・ザ・イヤー!
歌に合わせ、信長は舞い踊るように敵を倒していく。ひとたび扇を振れば花吹雪がサラサラ~。これもトンチキバトル・オブ・ザ・イヤー!
さあ、トンチキドラマ・オブ・ザ・イヤーとの三冠も夢じゃないと、胸を高鳴らせて観ていたが、どうでしょう。回を追うごとにフェイドアウトしていくトンチキ要素。
歌わないし、舞わないし。最初はやたら「このイカ、イカが?」と連発していた信長の謎のダジャレも封印。
フレディ・マーキューリーやバッハのコスプレを披露していた伊達政宗(三浦翔平)もすっかりノーマルモードだ。
まぁ展開的には、ただいま他校のペリー提督とジャンヌ・ダルクと始皇帝と交戦中って、十分どうかしているんだけど。
せめてあの「敦盛2122」だけは、毎週歌ってほしい。ていうか皆に聴いてほしい、あの素晴らしきトンチキソングを。
伝説のドラマ爆誕かと思いきや、トンチキ五十年~狙ってできる訳もなく夢まぼろしの如くなり。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2022年9月23・30日合併号