■快眠グッズでは改善しない例も

「一般的に枕を選ぶ際に注目されるのがサイズや手触りですが、私たちは全く別のアプローチで商品を開発してきました。睡眠医学の知見によれば、睡眠時に脳の温度を下げることによって深い睡眠を得られることがわかっています。そこでブレインスリープの枕は春雨のような通気性の良い素材を使うことで、寝ているときの頭部の熱を放出させて質の高い睡眠を実現しております」

 同社は7月に、日本サウナ学会代表理事で医師の加藤容崇氏と共同で、サウナ浴が睡眠に与える効果の検証試験をしたという。

「サウナ浴を行うことで睡眠の質に良い影響を与えることが今回わかりました。寝具の開発だけにこだわらず、今回のような情報発信や商品開発を進めていきます」(道端氏)

 世にあふれる「快眠グッズ」だが、一体どれを使えばいいのか、秋田大学大学院医学系研究科の三島和夫教授(精神科)はこうアドバイスする。

「睡眠に悩んでいる人は、まずは自分が『不眠症』なのか、『睡眠不足』なのか識別する必要があります。20代から50代で圧倒的に多いのは『睡眠不足』で、眠りたくても仕事や家事などで眠る時間が取れないのです。一方で中高年になると、今度は時間があっても眠れない『不眠症』になってきます。睡眠時間が短い点ではどちらも同じですが、体への影響や治療法は異なります。自分がどちらなのかをしっかり理解したうえで、自分に合った商品を使うのがいいでしょう。眠りが浅い、夜中に目が覚めるといった不眠症状があるケースでは、睡眠時無呼吸などの睡眠障害や、うつ病やアルコール依存症といったメンタルヘルスの問題が少なからずあり、これらは快眠商品では改善しないので、過信は禁物です」

 ブームに流されるのではなく、自分に合った快眠グッズを見つけることが大切なようだ。(本誌・佐賀旭)

週刊朝日  2022年9月16日号

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