すがや・とみお/1958年、千葉県生まれ。大阪市立近代美術館建設準備室学芸員などを経て2019年から現職。近代デザインなどを担当(photo 大阪中之島美術館提供)
すがや・とみお/1958年、千葉県生まれ。大阪市立近代美術館建設準備室学芸員などを経て2019年から現職。近代デザインなどを担当(photo 大阪中之島美術館提供)

「大阪の視点」とは、地域の力を見る目。美術のあり方や、取り巻く環境、作家のあり方など、大阪の土壌だから成立したであろうものがあって、それは主流とされる価値観とは異なります。本来アートは柔軟なもので、美術ジャーナリズムやアカデミズムが作り上げてきた、日本美術史からは抜け落ちてしまう視点を拾っていく。美術の歴史は各地方にあったはずで、それぞれの場所からの視点の広がりを突破口に美術の見方がより豊かになっていけばいい。

 私は子どもの頃、遠足で行った牧場が空港建設で移転されるなど文化的にやせ細っていく地域を見てきました。ですから、一つの文化圏を持っている大阪は居心地がいいと感じます。10月22日からは具体美術協会の大規模な展覧会を開きます。中之島を活動拠点とし、戦後日本の前衛美術をリードした美術家集団ですが、中心メンバーのうち美術大学を出たのは数人で独学も多い。それでも世界的な作家はたくさんいて、そんなあり方も大阪の一つの文化ではないでしょうか。私は今では大阪生まれの人よりも大阪に詳しい面もあります。いろんな所から人が来て、つくってきたまちが大阪ですから。

(構成/ライター・桝郷春美)

AERA 2022年9月12日号より抜粋

>>【前編を読む】構想40年、大阪中之島美術館がオープン まちと美術が結びつく“大阪の視点”がテーマ

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