
1966(昭和41)年、資生堂のサマーキャンペーン広告「太陽に愛されよう」で、白い水着姿に健康的な小麦色の肌を見せる前田さんは多くの人に強いインパクトを残した。今年1月、前田さんは資生堂創立150周年の記念CMに出演した。
当時を彷彿とさせる白いターバンに白いドレスを身にまとい、意志の強さと華やかさ、柔らかさが共存する女性を演じた。
「資生堂さんには、前田美波里という名前を世に広めてくださったことに感謝しています。少しでもお役に立てたらと思い、出演しました」
撮影時に思い出したのは、56年前のハワイでの撮影のこと。
「今回の撮影ではスタジオにハワイのような濡れた砂浜が再現されていて、当時のいろんなことを思い出しました。1週間ハワイに滞在し、肌を小麦色にするために体を焼いてくださいと言われたものの、天候に恵まれなかったとか、砂浜の砂が痛かったとか……。あの時は太陽に負けない自立した女性というテーマでしたが、今回は強さよりも優しい感じを出しました」
CMで前田さんが見せたのは、柔らかな笑顔を浮かべながら、砂浜で寝そべっているところから立ち上がる姿。56年の時を経たからこその美しさがにじみ出ている。
現在、再演中の「ピピン」では、主役が城田優さんから森崎ウィンさんにバトンタッチされ、前回とはひと味違った魅力に注目が集まっている。
「ウィンくんは歌が上手で王子役にぴったり。私は彼に『人生は楽しんで生きるのよ』と見せる役割。再演は前回を追ってしまう怖さもあるけれど、新しい自分を楽しみたいし、今の自分を輝かせることができたら、お客様も喜んでくださるんじゃないかと思っています」
(ライター・吉川明子)
※週刊朝日 2022年9月16日号