「ウチの子に何をするの!」と怒鳴りながら、そそくさと荷物をまとめ、子どもの手を引いて帰ってしまったという。その後、英会話教室の本部に電話が。「あの先生がウチの子を羽交い締めにした。別の先生に代えてくれ」。本部から懇願されて謝罪の電話をかけることになった。

「電話がつながると、お母さまは一方的に私を非難し続けました。羽交い締めにはしていないことを理解してもらおうと努めましたが、最初は怒鳴るばかり。気づけば号泣しながら謝罪の言葉を述べていました。なぜ私は謝っているんだろう。悲しくて、くやしくて、涙が止まりませんでした。すると、ひとしきり文句を言って興奮が収まったのか、本音を言い始めました」

 自分の子は幼稚園でも問題を起こしがちだったこと。レッスンを窓からのぞいていたのも、何か騒動を起こさないかと心配だったから。

「普段からのわが子への不安がこの件をきっかけに爆発したように見受けられました」

 さまざまな世代が集う場所であるだけに、スーパーでもカスハラは発生しやすい。千葉県の30代女性が買い物に出かけると必ず見かける老婆は「もう二度とここには来ない!」と声を張り上げている。ただ、必ず品物が入ったレジ袋を提げている。店側は客である以上、頭を下げる姿勢に終始している。

 携帯電話販売店に勤める、神奈川県の20代女性はシニアによるカスハラの事例を語った。

「スマホを購入された高齢のお客さまが来店し、使い方がわからないとのこと。専門用語を使わずに説明しましたが、理解できず、イライラし始めました。その挙げ句、『講習なんて頼んでいない。さっさと使えるように設定しろ!』と怒鳴る。こういう方は珍しくなくて、本当に疲れます。転職も考えています」

 神奈川県の70代女性は言う。

「コロナ禍で、本当に寂しくなりました。腰痛をやわらげるため、毎日のように通っていた接骨院で待ち時間に近所の友人と話すのが楽しみでしたが、会話は禁止。常連だった喫茶店はつぶれました。月に数回、古くからの友人とランチをしていましたが、ずっと自粛しています。昼間自宅に一人でいると、わけもなく叫びたくなります」

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