同じく医療機関でカスハラを目撃したのは東京都の40代女性。都内で地価が高い場所にある婦人科の受け付けで怒鳴り散らしていたのは、ゴージャスな衣服や宝飾品を身にまとった推定30代の女性だ。

「予約時間になっても、自分の診察の順番が回ってこないことにクレームをつけていました。『自分の車の中で待っているから、順番が来たら呼びに来て』と出ていきました」

 受け付けのスタッフは結局、駐車場まで呼びに行ったという。

「予約した時間に診察できないのは問題ですが、医療機関では珍しくないこと。大人しく待っている他の患者さんに迷惑をかけていることは、彼女の眼中になかったようです」

 昔から医療機関における待ち時間の長さは不満の種で、患者側はストレスを抱えがちだ。とはいえ、医師が患者の声に耳を傾けて丁寧な診察をすれば予定時間をオーバーするケースも少なくないというジレンマ。

(ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)

AERA 2022年8月29日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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